磁性めっき線を用いた空心トランス

 

1 研究目的

 非接触給電は,ICカードなどにすでに利用されており,また人工心臓や携帯電話の充電器への実用化が期待されている。非接触給電とは機械的な接点をもたずに非接触で電力の授受を行うシステムであり,2つのコイルの電磁誘導を利用した空心トランスが用いられている。

人工心臓に用いる従来の空心トランスでは,周波数300 kHz以下の駆動周波数で検討されてきた。しかし,さらなる小形化のために高周波化が進めば,コイルの銅損が増加して効率が低下してしまうことが考えられる。そこで,導体の銅損低減の観点から磁性めっき線(MPW)を用いたリッツ線(LMW)を用いた効率改善を検討した。

 

テキスト ボックス:  
     (a) 銅線(COW)       (b) MPW
図2 COWとMPWの構造 (unit: mm)
テキスト ボックス:  
図1 空心トランスの概観

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 空心トランスの高効率化のための2つの条件

1)     テキスト ボックス:  
図3 空心トランスの効率特性の比較
(周波数f = 1 MHz, ギャップの長さd = 5 mm,
一次電圧V1 = 12 V).
コイルの交流抵抗の低減

COWを用いたリッツ線(LCW): 0.66 W

LMW: 0.37 W (43.9 %低減)

2)     コイルの相互インダクタンスの増加

LCWトランス: 5.12 mH

LMWトランス: 5.35 mH (4.5 %増加)

 

3 空心トランスの効率特性

 LCWトランス: 92.3 %

LMWトランス: 93.3 % (1.0 %増加)

 

4 主な研究論文

1) 水野 勉,松下 和誉,飯田 和剛:磁性めっき線を用いた空心トランスの効率特性,第31回日本応用磁気学会学術講演概要集,14aB-4p. 316, 2007.