渦電流形変位センサの温度ドリフトの改善

(1) 研究の目的

渦電流形変位センサ(以下,EC変位センサ)は耐環境性に優れているために,多方面の産業分野(発電関係,特に回転機械監視装置(TSI),工作機械・加工技術分野,半導体製造分野,製鉄関係等)で使用されている。

 

EC変位センサは,センサ部であるコイルとターゲットとの距離が変化することによって生ずるコイルのインピーダンスの変化を,出力電圧に変換して変位を測定する。

 

しかし,センサの設置環境の温度が変化すると,コイルのインピーダンスが変化するために測定誤差,つまり温度ドリフトが生ずる。測定対象やEC変位センサの設置環境の温度が変化しても正確な測定が可能,すなわち温度ドリフトが小さいセンサが望まれている

1 EC変位センサの構成

 

 
 


渦電流形変位センサ(以下,EC変位センサ)は,変位を計測する目的の電磁センサである。

センサ部であるコイルとターゲットとの距離が変化することによって生ずるコイルのインピーダンスの変化を,出力電圧に変換して変位を測定する。

 
(2) EC変位センサの測定原理

 

 

 

 

(3) EC変位センサの特長

(1) 非破壊・非接触

2 発電タービン

 

 
(2) 優れた耐環境性

(3)  構造が比較的簡単

 

 

(4) EC変位センサの応用例

回転機械監視装置(TSI

工作機械・加工技術分

半導体製造分野

製鉄関係等

 

 

(5)       温度ドリフトの改善 

 

(a)      励振周波数の検討

EC変位センサの共振周波数は温度に依存して変化する。そこで,共振周波数の変化を考慮した励振周波数を検討した結果,温度ドリフトを従来の1/3に改善できることを明らかにした(3参照)

 

 

3 温度ドリフト

 

 

(b)      内部導体に起因する抵抗Rinの低減

EC変位センサのコイルから生ずる磁束が同軸ケーブルの内部導体に作用するために抵抗が生ずる(内部導体に起因する抵抗Rin)。そこで,同軸ケーブルをコイルから遠ざけて配置することでRinを低減することで温度ドリフトを従来の1/3に改善できることを明らかにした(3参照)

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


主な研究論文

(1) 水野 勉,出口 見多,志村 祐介,北村 善紀,清水 悠介,品川 宏樹:渦電流形変位センサの温度ドリフトを改善するための励振周波数の検討,日本AEM学会誌,Vol. 18, No. 4, pp. 370-376 (2010).

(2) T. Mizuno, K. Deguchi, K. Yoshinori, S. Enoki, H. Shinagawa: Examination on Length of Coaxial Cable for Improvement in Temperature Drift of Eddy-Current Displacement Sensor, Asia Pacific of Applied Electromagnetics and Mechanics (APSAEM 2010), Technical papers T13-02, pp. 430-435(2010).

(3) 品川 宏樹,志村 祐介,出口 見多,榎木 茂実,水野 勉:クロムモリブデン鋼を測定対象とする渦電流形変位センサの温度特性解析,電気学会論文誌AVol. 130, No. 9, pp. 818-824 (2010).


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