渦電流形変位センサの同定法

(1) 研究の目的

渦電流形変位センサ(以下,EC変位センサ)は耐環境性に優れているために,発電用タービンの軸振動検出に使用されている。

また,EC変位センサは,センサプローブと インピーダンス/出力電圧(Z/V) 変換器(ドライバ)から構成されている。

 

図1に示したように,米国の発電プラントではセンサプローブの種類とタービンシャフトからセンサプローブ先端までの距離(変位)

管理されていない。また,電子部品から構成されているドライバの故障確立は,センサプローブよりも高い。そのために,ドライバだけ

が故障した場合にも,発電プラントを停止・分解してドライバだけでなく,センサプローブも交換されている。発電プラントを停止させる

と電力の供給が不安定になる等の問題が生ずる。そこで,発電プラントを稼動したままで,センサプローブの種類と変位の両者を

1 同定法の概要

 

 
同定できれば,上述の問題は解決できる

 

 

(2) センサプローブの同定法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(3) 変位の推定法(ProbeB)

(1) 環境温度Tの推定値Te

 4において,挿入量20%, 50%における環境温度T - 直流抵抗Rdc特性の近似式Te = h(Rdc)を求める。Rdcを式(1)に代入してTを推定することが可能である。

 

 (2) 変位xの推定値xe

(1)を用いて環境温度を推定して,発振電圧Vosの実測値および図5に示した特性と式(2)(3)を用いて変位xの推定値xeを算出することができる。

 

 

 

5 変位の推定値xeの算出方法

 

4 環境温度Tの推定方法

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


センサプローブの種類と変位を同定後,Probe Bに適したZ/V変換器になるように回路定数を変更する。そして,センサの感度がAPI(American Petroleum Institute)規格7.87 mV/mm ± 10%(7.87 - 8.66 mV/mm)を満たす必要があり,その感度調整法を提案している。

 

(1) 出力電圧Voの設定値Vo(setting value)

Texeおよび図6に示した特性と式(5)(6)(7)を用いてVoの設定値Vo(setting value)を求めることができる。

 

(2) 感度調整結果

Vo = 10.3 Vになるように可変抵抗を調整した後に,温度を変化させた場合のVo - x特性を図7に示した。なお同図に示したパラメータ以外の特性は全て2つの特性に囲まれた範囲にあった。

8に感度S - 変位x特性を示した。同図に示したように,API規格は7.87 mV/mm ± 10%(7.08 - 8.66 mV/mm)であるために,温度ドリフトが生じてもAPI規格を満足した。

 

 同様の方法を用いれば全てのセンサの感度調整が可能であることが明らかになった。

 
(4) 感度調整法(Probe B)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


主な研究論文

(1) 水野 勉,後藤 聖,出口 見多,北村 善紀,安里 優一,榎木 茂実,品川 宏樹:渦電流形変位センサプローブの同定方法,日本AEM学会,講演論文集, pp. 599-604 (2011).

(2) T. Mizuno, S. Goto, K. Deguchi, Y. Kitamura, Y. Asato: Method for Identifying type of Eddy-Current Displacement Sensor , Magnetics, IEEE Transaction, Vol. 47, No. 10, pp. 3554-3557, 2011.

(3) 水野 勉,後藤 聖,北村 善紀,安里 優一,渡辺 隆志,榎木 茂実,品川 宏樹:自励式発振回路に基づいた渦電流形変位センサプローブの同定方法,第20MAGDAコンファレンス,日本AEM学会,講演論文(2011).

(4) 水野 勉,渡辺 隆志,安里 優一,後藤 聖,押谷 敏和,大村 洸平,榎木 茂実,品川 宏樹:渦電流形変位センサプローブの同定と感度調整,日本AEM学会誌 (2013)


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