テキスト ボックス:  
図1 H形コアを用いた給電構成

 
図2 給電コイルから生ずる電界

体内ロボット用非接触給電

 

1 研究目的

身体に与える負担の少ない医療機器としてカプセル内視鏡等の体内ロボットの研究が盛んに行われている。現行のカプセル内視鏡はボタン電池を用いて電力を供給している。しかしボタン電池がカプセルの体積の半分程度を占めており,小形化の障害となっている。また電池駆動方式では,必要とされる電力を長時間供給することが難しい。したがって電力を非接触で供給する方法が有効である。本研究室では体内ロボットへの非接触電力伝送技術の応用の検討を行っている。さらに,電力伝送以外の体内ロボットに必要な技術として,位置検出,自走機構の検討も行っている。

 

2 システム構成

1に給電構成を示した。給電コイルは身体に閉塞感を与えないオープンスペース形給電を可能にするため,H形コアを用いたコイルである。コイルはベッドに埋め込むことが可能であり,患者は横たわるだけで体内のロボットに給電が可能となる。給電コイルには直列にコンデンサを接続して周波数f = 100 kHz で共振させ,同周波数を用いて給電を行う。

 

3 受信電力

給電コイルへの入力電力Pin = 66 W,入力電流Ii = 5 A,周波数100 kHzにおいて受電コイルに電力伝送を行った結果,体内ロボットで最低限必要とされる30 mW 以上の電力を300 mm()×300 mm()×250 mm(高さ)の範囲で給電可能であった。同範囲は消化器官が収まる範囲を想定しており,本構成を用いることで実用性の高い給電が可能となる。

 

4 電磁界暴露

本研究で用いたH形コアには電界防護用のシールドとしてアルミプレートを配置している。上記3章の給電条件を用いた場合の,コイルからの高さ5 mm の点における,有限要素法を用いた電界強度の解析結果は19.9 V であり,アルミプレートが無い場合と比較して99% 以上低減する結果となった。空間に生ずる電磁界に関して,国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)においてガイドラインが規定されており,本構成を用いた際の電界強度はガイドラインを満たした。しかしながら,磁界強度はガイドラインを超過する結果となったため,今後は給電範囲・電力を維持しながら磁界強度を低減させるためのコイル構造,およびシールド構造の検討を行う。

 

5 主な研究論文

1)     水野 勉,後藤 徳仁,谷内 慎太郎,上田 拓人,大友 隆平,西山 昌宏,武藤 龍:三軸受信コイルを用いた体内ロボット用非接触給電,電気学会,リニアドライブ研究会資料,LD-12-074pp. 49-542012.

2)     後藤 徳仁,水間 淳一郎,卜 穎剛,水野 勉:オープンスペース形体内ロボット用非接触給電,電気学会,マグネティクス研究会資料,MAG-13-136