エネルギーハーベストのための電磁式発電デバイスの検討

 

1. 研究背景

防犯分野などに用いられるシステムにおいて,配線作業が不要となり,環境発電デバイスを用いることによって,スイッチの位置を自由に変更できる。そのために,製造コストが低減されることが期待されている。無線システムに用いる発電デバイスには,短時間で大きなエネルギーを出力することと小型化が要求されている。そこで,センサの駆動電源のための発電機について検討を行っている。

 

 

2. 目標

 

1 発電機の目標仕様

項目

数値

(単位)

備考

誘起電圧

2 以上

(V)

 

寸法

29.3×19.5×7.0 以下

(mm3)

 

体積

4000 以下

(mm3)

 

安全率

1 以上

 

 

内部

インピーダンス

30

(W)

 

1発電機の目標仕様を示した。発電機の誘起電圧は2.0 V以上を目標としている。また,寸法の目標値は29.3×19.5×7.0 mm3以下とした。

 

体積は4000 mm3以下であり,安全率と内部インピーダンスはそれぞれ,1 以上と30 Wである。

 

 

 

3. 基本構造

 


1 発電機の試作機

2 発電機の基本構造

1と図2にそれぞれ,発電機の試作機と発電機の基本構造を示した。本発電機の可動子は永久磁石,ヨークで構成されており,ステンレス製の2本の板ばねによって支持されている。安全率の観点から可動子の変位は±2 mmとした。

 

本発電機は人の操作力を電気エネルギーに変換する発電機である。さらに変位が大きくなると推力が大きくなる発散系の磁気ばね特性を利用することによって,短時間で高出力が得られる構造である。

 

本発電機の外形寸法は18.6×13×15.5 mm3であり,体積は3700 mm3であった。そのため,目標値(4000 mm3)と比較して7%低減することができた。

 

 

 

4.静推力特性と誘起電圧

 

3 静推力特性

4 誘起電圧

3に振動発電機の静推力特性を示した。永久磁石とヨークとの吸引力Fmを赤字で示した。変位x = -2 mmのときの静推力はF = 3 Nであり,発散系の磁気ばね特性となった。また,板ばねによる機械的な力Fsは青字で示したようになった。変位x = -2 mmのときの静推力はF = 1.71 Nであった。永久磁石とヨークによる吸引力と板ばねによる機械的な力を合計した結果,黒字の特性となった。x 2 mmのときF =1.29 Nであり,発散系のばね特性となったために短時間で高出力が得られる

 

4に発電機の誘起電圧を示した。実際に使用する場合を想定して,人の手による力を可動子の端部に加えたときの誘起電圧を測定した。その結果,可動子の変位2.14 mmのときの誘起電圧は4.82 Vであり,目標値(2 V)を満たすことができた。また,3 mの距離において通信することができた。

 

 

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