高加速度と目標としたリニア直流モータの検討

 

1. 研究背景

情報機器(OA 機器)に使用されているラインプリンタやイメージスキャナの駆動部にはリニア直流モータ(LDM)が多用されている。OA 機器の応答性の向上のために,LDMの高加速度化および電気的特性の改善が要求されている。そこで,高加速度490m/s2を目標としたリニア直流モータの検討を行った。

 

 

2. 目標

 

1 LDMの目標仕様

 

項目

記号

数値

備考

最大加速度

am

490 m/s2 (50G)以上

 

最大励磁電流

Im

10 A以下

 

駆動電圧

Vm

24 V

 

推力の減少率

 

5 以下

変位x = 0 mmにおける静推力Fを基準としたときの

x = ± 4 mmにおけるF

ストローク

s

10 mm

 

レンズフレームとLDM取り付け面との距離

 

14.2 mm

 

外形寸法

 

45×51.8×72 mm3

 

固有振動数

 

2 kHz以上

 

軸受の寿命時間

Lh

2×104 h以上

 

1LDMの目標仕様を示した。LDMの最大加速度amと最大励磁電流Imは,それぞれ,490 m/s2 (50G)以上と10 A以下を目標としている。また,LDMの駆動電圧Vmとストロークsは,それぞれ,24 V10 mmである。変位x = 0 mmにおける静推力を基準としたときのx = ± 4 mmにおける推力の減少率は5% 以下を目標とした。

 

 

 

 

3. 基本構造

 


1 LDMの試作機

 

 

2 LDMの基本構造

1と図2にそれぞれ,LDMの試作機とLDMの基本構造を示した。本LDMの可動子はコイル,コイルフレーム,レンズフレーム,レンズ,リニアブロックより構成されている。また,固定子は永久磁石,ヨーク,非磁性体,リニアレールより構成されている。

 

LDMは可動子のコイルに対して2個の永久磁石を挟み込み,さらに外側にヨークを配置することで磁気特性を向上させて高推力を発生させる。可動子にコイルを用いることで質量を低減させ高加速度を発生させる構造となっている。

 

可動子には大きな負荷が加わるために,可動子の剛性を高める必要がある。そのために,変位方向に対してコイルを平坦に配置して,さらに2個の軸受を可動子の端部に配置することによって変位方向の剛性を高めている。

 

 

 

 

4. 加速度特性と静推力特性

3 加速度特性

4 静推力特性

3LDMの加速度特性を示した。t = 0.9 sのとき,加速度は490 m/s2となり目標を達成した。また,加速度の最大値は564 m/s2となった。

 

4LDMの静推力特性を示した。変位x = - 404 mmのときの静推力はそれぞれ,4.114.164.03 Nであった。x = 0 mmの静推力を基準としたときのx = - 44 mmの静推力の減少率はそれぞれ,1.23.6%の減少であり,目標値(5%の減少)よりも小さい値となった。

 

5. 主な研究論文

  1. 卜 頴剛,井上 要,小柳津 一晃,金城 秀幸,新田 晃弘,吉田 慎太郎,水野 勉,丸山 利喜,寺島 智樹:加速度特性に着目した可動コイル形リニア直流モータの検討,第22MAGDAコンファレンスin宮崎,PS07pp. 351-3562013.
  2. 井上 要,小柳津 一晃,金城 秀幸,卜 頴剛,水野 勉:応答性に着目した可動コイル形リニア直流モータの検討,第25回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム講演論文集,15B2-2pp. 88-932013.


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