リニア直流モータの質量低減構造の検討

 

1.    研究目的

リニア直流モータ(以下LDMと略)は,工場自動化(FA)用機器や工作機械などに利用されており,LDMには高速応答,小形・軽量化が求められている。本テーマの研究では,現行品であるLDMの質量低減構造の検討を行っている。

 

2.    基本構造

 

1LDM3Dモデルを示した。ヨークは構造用炭素鋼S45C,永久磁石はネオジウム系焼結磁石(残留磁束密度Br = 1.34 T,保磁力Hc = 1031 kA/m)を使用した。

 

従来機と試作機の寸法は,それぞれ,72×45×51.8 mm354.8×43×48.2 mm3であり,体積は32%小形化した。

従来機と試作機の可動子の質量は,それぞれ,48.5 g32 gであり,試作機の可動子の質量は現行機と比較して34%減少した。また,従来機と試作機の全体の質量は,それぞれ,837 g369.5 gであり,試作機の質量は従来機と比較して56%減少した。

 

後述する図3に示したように現行機のアウターヨークとインナーヨークの平均磁束密度は1.10 Tであり,磁気飽和していない。そこで,アウターヨークとインナーヨークの寸法を小さくして,質量を低減した。またコイル導線の導体径を小さくすることによってコイルの寸法も小さくした。さらにガイドプレートの材質を炭素鋼(従来機)からアルミニウム合金(試作機)に変更することによって,質量を低減した。

 

(a) 従来機                  (b) 試作機

1 LDMの3Dモデル

 

3. 特性

 


2 磁束密度分布図

3LDMの磁束密度分布を示した。FEM解析ソフトウェアを用いて三次元直交座標系での静磁界解析を行った。現行機のアウターヨークおよびインナーヨークの平均および最大磁束密度は,それぞれ1.10 T1.64 Tであり,磁気飽和していなかった。

 

この解析結果を元に従来機のヨークの不要な部分を削ってゆき,試作機の設計・試作を行った。試作機のアウターヨークとインナーヨークの幅を5 mmに短くすることによって,平均および最大磁束密度は,それぞれ,1.20 T1.66 Tとなった。

 

 

 

 

3 静推力特性

3に電流I = 1 AのときのLDMの静推力特性を示した。従来機と試作機の静推力(x = 0 mm)は,それぞれ,2.53 N2.52 Nであり,試作機の静推力は従来機と比較して0.4%減少した。

 

よって今回設計・試作を行ったLDMは,従来機と比べてLDM全体の質量を56%低減させつつも,静推力特性は従来機とほぼ変わらない特性だった。

 

 

4. 主な研究論文

  1. 水野 勉,小柳津 一晃,堀尾 達也,金城 秀幸,丸山 利喜,小林 修平,寺島 智樹:リニア直流モータの質量低減構造の検討,マグネティックス/リニアドライブ合同研究会,MAG-12-003LD-12-0032012.


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